アバナフィル Avanafil ステンドラ Stendra 2013.4.3
こんにちは。
浜松町第一クリニック大宮院 院長の仲川です。
日本の厚労省に認可されているED薬は3種類。バイアグラ・レビトラ・シアリスです。
世界で見れば、ジェネリックを除いて4種類ある、という話をさせて頂きました。
今回は残った一つ、新しいED薬の紹介です。
題名の通り、アバナフィル(Avanafil)・商品名ステンドラ(Stendra)の紹介です。
アメリカにある製薬会社、ヴィヴス社より製造販売となった薬剤となります。
構造式はこちら
アメリカFDAから認可され、販売開始となったのは2012年4月。
ちょうど1年前になりますね。
STENDRA™ full prescribing information
幸か不幸か、薬剤情報がちゃんとあるので・・・みなさまに紹介しないと。゚(゚´Д`゚)゚。
アバナフィルも他のED治療薬と同じく、PDE5 inhibitorに分類されます。
これまでいくつも紹介してきましたが、現在あるものは全てPDE5阻害薬だということ。
良くも悪くも、似たような薬物動態になりますね。
続いて用量。
開始用量は100mgとし、50~200mgでの使用が推奨されています。
錠剤として、50mg錠100mg錠200mg錠の3種類あり、使用は1日1回までとのことです。
使用のタイミングについてですが、性行為の約30分前とされています。
バイアグラ・レビトラ・シアリスは添付文書上、どれも性行為1時間前と言われています。
内服から効果発現までが早い事を『謳っている』薬剤であることは間違いないですね。
ちなみにステンドラの絶食時のTmax(最高血漿中濃度到達時間)、内服後最もステンドラ血中濃度が上がるまでかかる時間は中央値で30~45分。
・バイアグラ50mgが30~78分
・レビトラ20mgが30~60分
・シアリス20mgが60~240分
となっています。
Tmaxが短い=即効性がある、と考えて頂いて結構です。
レビトラと大差ない気もしますが、少し早めであることは間違いなさそうです。
併用薬については…
基本的にはほぼ同じと考えて貰って良いのですが、個人的には既存の3種のED薬と比較した場合、ステンドラの方がシビアなのではないか、という印象を受けました。
ニトロ製剤・硝酸塩絡みの薬剤が併用禁忌なのは同じなのですがそれ以外の部分。
◎CYP3A4阻害剤の扱い
処方箋薬の中にはCYP3A4阻害作用のあるものもあり、それとED治療薬を併用することで効果増大・・・だけではなく副作用も増大する可能性があるため、併用には注意を要します。
具体的には、バイアグラおよびシアリスに関しては、添付文書上、併用注意という記載になっています。
レビトラについては、一部の抗真菌薬・HIV治療薬・C型肝炎治療薬は併用禁忌となっており、使用することができません。
これに対し、ステンドラはと言うと…
一部の抗真菌薬(ケトコナゾール・イトラコナゾール)及びHIV治療薬が併用禁忌なのは元より、一部の抗生剤 (クラリスロマイシン・テリスロマイシン)も併用禁忌となっております。
簡単に言えば、併用禁忌の薬が『現時点』では他の3種類の薬よりも多いです。
あとは食事との兼ね合いに関して。
原文のまま引用します。
2.2 Use with Food
STENDRA may be taken with or without food.
そのまま日本語に訳せば・・・
食事に関係なくステンドラを内服しても良いといった具合でしょうか
ですがもう少し、掘り下げて読んでいくと
『200mgのステンドラを高脂肪食と一緒に内服した場合、1.12~1.25時間Tmaxは延長し、Cmaxは39%減少する、つまり吸収速度は有意に減少する』
と書いてありました…
この数値をどう考えるか、ですが・・・
比較として、バイアグラ50mgの記載を見てみると
『食後投与によってTmaxは1.8時間延長、Cmaxは42%有意に減少』
とのことです。
判断は難しいですし、実際に使ってみた感覚が分からない以上断言は出来ませんが、私の印象としては、やはり食事の影響は受けると考え、空腹時での内服が望ましいのではないかと思います。
アバナフィル・ステンドラについても個人輸入やインターネット販売を宣伝する業者さんなどもいらっしゃいますし、薬剤情報を紹介しているページもあります。
その多くが『食事に関係なく内服出来る』といった表現を使っており、宣伝の為とはいえ不確実な情報を流す人の多いこと多いこと・・・
皆様もくれぐれもお気を付け下さい。
危険なインターネット販売に手を出すことのないようお願い致します。