FIS Ski Jumping World Cup Ladies~その2 2013.2.14
みなさまこんにちは。
大宮院、院長の仲川です。
もう少し詳しくスキージャンプについて書いてみようと思います。
リレハンメルや長野オリンピックの頃と、現在のジャンプ競技で大きく異なる点があるのはご存知ですか?
スキーの長さやウェアの厚さなど、多くの変更点がありましたが、最も異なるポイントは
●Gate Factor
●Wind Factor
この2点です。
2/2の試合結果
2/3の試合結果
FISのホームページにある、札幌大会の結果です。
英語なのでアレなのですが…
長野オリンピックの頃であれば、Distance Points (飛距離点)と Judges Points (飛型点)の合計ポイントが
1回目・2回目のジャンプで与えられ、その合計点で順位が争われていました。
しかし現在では、それに加えて、風速および滑り出しの位置も加味して計算しています。
上記のpdfファイルから抜粋してみます
こちらが、宮の森ジャンプ競技場のデータです
上記の4つ
Distance Points 飛距離
Judges Points 飛型
Gate Points ゲート
ind Points 風
がいかに計算されるかを見てみると…
Distance Points
これは最も簡単です。宮の森の場合ですと、K-Point=90mまで飛べば60points
Meter Valueが2.0Points/mですので
飛距離が90mより短ければ1m毎に-2.0points、90mより長ければ1m毎に+2.0poits
といった具合になります。
Judges Points
助走、踏切、空中姿勢、着地姿勢などを点数化してジャッジします。
5人の審判が20点満点で採点し、一番高い点数を付けた審判と一番低い点数を付けた審判を切り捨て
残り3人の審判の点数を加えます。
満点で60pointsが与えられる事となります。
Gate Points
滑り出しの位置に対する点数です。
なぜ、これが点数になるかといえば、『高い位置から滑り出した方が、飛び出しの時のスピードが早くなるので、遠くまで飛べる』
からです。
宮の森の場合はGate Factor は 6.00 Points/mとなっています。
計算方法としては、まずは審判が基準となる滑り出しの位置を決めます。
その位置より、1m高い位置から滑り始めた場合は-6.0points
1m低い位置から滑り始めた場合は+6.0points
されることとなります。
ちなみにゲート番号は1違う事に50cmずつ高さが異なり、数字が小さい方が低い位置、となっています。
Wind Points
風向きによる有利不利を考慮した点数です。
ジャンプ競技においては、『向かい風は有利』『追い風は不利』
とされています。
一見不思議ですが、より強い浮力を得るためには向かい風があったほうが有利だからです。
今までは、風が変わり易いジャンプ台などでは風による有利不利があり、その問題点を解決させる為に考案されました。
計算方法です。
宮の森のWind facorは6.40 Points per m/sとなっているため、追い風1m/sを受けた選手は+6.4points
向かい風1m/sを受けた選手は-6.4points
が与えられる事となります。
以上を踏まえて、2/3の高梨選手のポイントを見てみると…
距離は86.0mでK-Pointの90mより4m短いです
飛距離は1mで2pointsの計算ですので、60-2x4=52pointsとなっています。
飛型点については、一番上と一番下の切り捨てですので
1回目ジャンプはAとEを切り捨て、17.5+17.5+18.0=53.0points
2回目ジャンプはDとEを切り捨て、17.0+17.0+17.5=51.5points
となります。
1回目の基準ゲートは22、2回目の基準ゲートは20、となっていました。
ですので、Gate Pointsは
1回目は19番ゲート、基準の22番より3つ下になります。1つゲートが下がる毎に50cmですので、1.5m下から滑り出したということから、1.5x6.0=9.0points
が与えられています。
2回目は20番ゲート、基準ゲートと同じなのでポイントは無しですね。
続いてWind Points
表示でのマイナスは追い風、プラスは向かい風ですね
1回目は6.4x0.04=0.256(0.3) 2回目は6.4x1.19=7.616(7.6)
どちらも追い風だったということで、上記がプラスされることとなります。
ほかの選手とも比較してみると、大きな距離飛んでいてもGate FactorやWind Factorで減点されていたり、と単純な距離だけの比較で順位が分かりにくい部分もあります。
そうは言っても、基本的には遠くまで飛んだ選手が強いんですけどね(^_^;)
また、改めて振り返ってみると
この二日間は本当に厳しい条件での試合だったんだと思います。
2/3の4位に入ったROGELJ Spela選手と5位に入った高梨沙羅選手
2回目のWind Pointsを比較してみると、ROGELJ Spela選手 -15.5Points
高梨沙羅選手 +7.6Points
その差23.1Points、距離にして11.55mものポイント差が付いている事となります。
そしてこの2選手それぞれの飛距離は97.5mと86.0m。
観戦している分には、遠くに飛んだ人の方がポイントを多く稼いだ様に見えていましたが、この2選手の差は飛型点のみでした。
観戦していると、そこら辺がすぐ分からないのが少し難しい、かも?
GateとWindを点数に加えるようになったのは最近の出来事のため、このボードに無いんですよね。
もちろん合計点はわかるのですが、距離と飛型しか細かい点数は表示されたいので…
でも、STVが準備してくれていたのか、大型液晶モニターが用意されており、そちらにはGateとWindのポイントが出ていました。
ですので、そちらを見つつ観戦していました。
細かい話になってしまいましたが、楽しかったです(*´∀`*)
そんな訳で、みなさまにもジャンプ競技に対する興味が湧いて頂けたなら幸いです。