オーソライズドジェネリックに関する考察2015.4.28
こんにちは。大宮院の仲川です。
前回の私の記事でオーソライズドジェネリックに関してつらつらと書き殴りましたが、ただの文章で分かりにくい、というよりも理解不能と感じた方も多いのではないか、と思い少し解説のような話をできればと思います。
まず、一般的な先発品の薬価(値段)の流れです。
新しく発売される医薬品には薬価/値段が付けられます。
その薬価は、1-2年毎に行われる薬価改定によって徐々に引き下げられていきます。
そして10-15年ほど経過し特許が切れ、ジェネリック医薬品(GE)が発売されます。
2014年の薬価改定までは、ジェネリックが発売されると、薬価改定により引き下げにプラスして「特定引下げ(4-6%)」ルールが適用となり、さらに先発医薬品は値下げが行われていました。
しかし、そのルールが廃止となり、後発品収載から5年経過しても後発品が一定以上置き換えられていない場合に長期品薬価を引き下げる新ルールが導入され、さらに新規収載後発品の薬価については現行0.7掛け(初収載品10銘柄以上0.6掛け)を0.6掛け(同0.5掛け)に改める事となりました。
2014年を境に何が変わったか、というと、簡単に言えば
① 先発品の値下がり率が下がった
② 後発品が普及する方が、先発品の値崩れが止まる
③ 新しく発売される後発品が安くなった
といったポイントでしょうか。
この中で重要なのは①と②だと思います。
これまで、後発品が発売されることは、先発品メーカーにとって、薬剤のシェアを奪われる、値崩れの原因となる、といった負の側面が大きい事でした。
それがこの改定によって、後発品発売による値崩れは最低限に抑えられ、またジェネリックの普及率、具体的には60%以上のジェネリック普及が先発品の価格下落を抑えてくれる、といった制度になった訳です。
すなわち、何が言いたいか、という部分ですが…
これまではジェネリック医薬品のシェア拡大はジェネリックメーカーにとってのみメリットがありましたが、先発品メーカーにとってもメリットが享受できる制度になったという事です。
この面と、AG(オーソライズドジェネリック)に関するニュースが日本で流されるのは無関係ではないと考えるのが妥当だと思います。
薬剤を使用している患者側からすると、先発品と同成分同製法で製造され、尚且つ値段が安いジェネリックが、一般的なジェネリック発売よりも前に販売されることは大きなメリットなのではないかと思います。
…では、バイアグラジェネリックのAGは発売されるのでしょうか?
当院で取り扱っているED及びAGAの治療薬は全て「薬価未収載」の薬です。
そのため、上記に挙げた①~③は当てはまりません。
先発品メーカーがAGを発売しようがしまいが、先発品の値段とは無関係です。
ジェネリックの普及率も関係ありません。
先発品メーカーにとってのメリットは(戦略的な部分はさておき)特にないのです。
これは、ジェネリックメーカーにも同じことが言えます。
AGを取り扱うということは、先発品メーカーとの共同事業となる訳なので、自社独自のジェネリックの製造販売と行った場合と比較して、先発品会社と利益を分け合う形になります。
利益率なども考慮した上で選択しなければなりません。
今まで述べてきたように、AGには厚労省の医療費抑制政策、先発品およびジェネリック薬品メーカーの様々な思惑が絡み合っていることも頭に入れておいていただけると幸いです。