オーソライズドジェネリック2015.4.25
こんにちは。大宮院の仲川です。
先日、オーソライズドジェネリック(AG)というものに関して患者さんから質問を受けたのでこちらでも説明させて頂きます。
オーソライズドジェネリック(Authorized Generic)、Authorizeは「権威を与える」「正式に許可する」「正当と認める」といった意味になります。
通常、ジェネリック医薬品(GE)は先発医薬品を製造するメーカーが持っている特許が切れた後に、他のメーカーが製造を行うのですが、医薬品の特許は有効成分だけでなく、製法や使用方法など多岐にわたるため、同成分でも添加物や製法が異なることは少なくなく、効能・効果や用法・用量が異なることがあります。
しかしながらAGの場合、GEを製造するメーカーが先発医薬品を製造するメーカーから特許の許諾を受けて製造を行うため、すべての効能・効果を取得した状態で発売可能なだけではなく、原薬、添加物、製法まで先発品と同一に出来るのが特徴です。
識別コードのみ異なるすべて同一の医薬品であるため、生物学的同等性試験も免除される今までになかったタイプのジェネリックになっています。
AGは欧米では既に普及している販売システムとなっています。
米国では、先発メーカーが子会社や他企業に販売権を与えAGを発売することで、特許満了後に発売されるジェネリックに対抗するためのものとされています。
日本では薬価が公定価格であるため、米国と同様のシステムでAGを導入することにはなりません。
これまで、長期収載品(先発品)の薬価算定ルールでは、初めて後発品が薬価収載された長期収載品に対し通常改定に上乗せする「特定引下げ(4~6%)」ルールがありましたが、2014年薬価制度改革において廃止。
後発品収載から5年経過しても後発品が一定程度置き換えられていない場合に長期品薬価を引き下げる新ルール導入となりました。
2014年度の改定まではAG導入により先発品が長期収載品となり、薬価の特例引下げが2年前倒しになるため、短期的な収益悪化につながるというリスクがあるのです。
このような理由により、日本では実施する製薬企業は長らくありませんでしたが、薬価改定が行われたこと、そして他社GEに先行することで先発品から変わるべき市場を先に独占的に確保でき、先発医薬品と同等ということで優位に販売を行うことが出来るという市場戦略と、AGの薬価を低価格に抑える事によりGEの薬価を抑制し参入社数を抑える薬価戦略となることも考えられます。
本邦においては、アレグラやブロプレスのAGが発売となっています。
厚生労働省が目指すGEシェア60%以上の普及に向けて今後も広がっていくのではないでしょうか。